春日山原始林

世界遺産「古都奈良の文化財」 特別天然記念物

本宮神社遙拝所 ここから、御蓋山頂上にまつられている本宮神社に遙拝します。

 御蓋山(みかさやま)は太古よりの霊山でした。その頂上には、春日大社第一の祭神武甕槌命(たけみかづちのみこと)が768年に白鹿に乗り天降ったとされている神跡 があり、本宮神社としてまつられています。写真の鳥居より先の山中はご神域として立ち入り禁止になっています。春日山原始林が現在に残された由縁でもあります。
 

 841年(承和8年)3月1日に神山として狩猟と伐採が禁止され、以来春日大社の聖域として保護され、1100年以上も人手の加えられていない 原生林が春日山(最高峰花山、498m)と御蓋山(標高294m)一帯にひろがっています。これが国の特別天然記念物に指定されている「春日山原始林」(約300ha)で、カシやシイ類などの常緑広葉樹林を 主体とした原始林となっています。最近(2002年)、原始林を対象とした巨樹・巨木調査がおこなわれ、巨木1425本が確認されました。その数は日本一だということです。 また、貴重な植物やシダ、コケ類、珍しい鳥類、1000種以上の昆虫が生息しています。町に近い為、動物の種類はそれほど多くはないのですが、モリアオガエルやカスミサンショウウオなどの珍しい生物 も生息しています。
 
 春日山は、人とのかかわりにおいて、山や自然そのものを神とする日本古来よりの神道を現すものとして 、また、春日大社の社叢として保護されてきた経緯により、古都奈良における文化的景観を構成する資産として、自然遺産ではなく文化遺産として世界遺産に登録されました。御蓋山にはいくつ かの社があり、頂上には本宮神社が建っていますが、通常は立ち入り禁止で見ることは出来ません。山の周囲には遊歩道があり、紅葉の季節には訪れる人も多いようです。


春日大社