法隆寺東院夢殿 ほうりゅうじとういんゆめどの
1棟 附指定 棟札2枚
奈良時代 739年(天平11年)
八角円堂、一重、本瓦葺
1897年12月28日(明治30年12月28日) 重要文化財指定
1951年06月9日(昭和26年6月9日) 国宝指定
聖徳太子を追慕して創立された法隆寺東院(注1)の中心建物で、著名な救世観音(注2)を本尊とし、あわせて東院の創立と再興とに尽力した行信・道詮の像(注3)を安置する。この地は太子の住居であった斑鳩宮の跡地と伝えられていたが、昭和
9年以降の修理工事にともなう発掘調査で、当時の掘立柱建物数棟を発見し、そのことが確認された。また、この調査では東院創立当初の回廊や南門の規模も判明した
その創立を天平11年(739)とする『法隆寺東院縁起』には多少の疑問ももたれるが、天平宝字5年(761)の『法隆寺東院資財帳』には夢殿以下各堂宇の記録があるから、少なくともそれ以前の建立であることはまちがいない。
堂は八角形の平面をもち、一般に八角円堂と呼ばれる。建立以来何回かの修理をうけてきたが、なかでも寛喜2年(1230)の修理は大改造をともなったもので、今見る姿はほぼこの時に定まった。改造の主な点は、組物を一段分積み重ね、軒部材を新材にとりかえて軒の出を増し屋根勾配を強くしたなどで建立当初と比べると建物の建ちが高くなり、全体に鎌倉時代らしい武骨さが強まったといえる。
このように中世の改造はあるものの、当初形態の復原も可能で、栄山寺八角堂とともに奈良時代の円堂を今に見ることができるのは幸いである。なお、頂上の露盤宝珠は宝瓶に八角形に宝蓋や華麗な光明をともなったもので、世上著名な優作である。
(注1)聖徳太子の住居斑鳩宮跡に行信が建てた伽藍(上宮王院という)の中心が夢殿。
(注2)聖徳太子の等身像といわれる(国宝)
(注3)いずれも国宝
夢殿で行われる行事
上宮王院修正会 1月16日〜18日(午後1時)
道詮忌 3月2日(午前10時)
夢殿本尊開扉法要 4月11日(午前8時)
夢殿本尊閉扉法要 5月18日(午後4時半)
行信忌 10月2日(午前10時)
夢殿本尊開扉法要 10月22日(午前8時)
夢殿本尊閉扉法要 11月23日(午後4時)
お身拭い 12月8日(午前10時)
引用文献 『文化庁国指定文化財等データベース』・行事は『法隆寺のHP』 |